人事や経理の担当者の方は以下のような悩みをお持ちではないでしょうか?
「人材採用を有利に進めたい」
「社員から給与前払いについての相談が多いが対応できていない」
「給与前払いサービスとはどんな仕組みなのかいまいちわからない」
給与前払いサービスを導入することによって、人材採用が有利に進められる他、定着率が上がるといった効果も期待できます。
しかし新しい仕組みであるために、なかなか理解できないという方も多いのではないでしょうか?
給与前払いサービスをよく理解しないまま導入してしまうと、自社の運用方針と合わずに後悔してしまうなんてことにもなりかねません。
そこでこのページでは主に、
- 給与前払いサービスの仕組みについて図解を用いながらご説明
- オススメの給与前払いサービス7つの比較表
- 給与前払いサービスの選び方
といったコンテンツをご紹介していきます。
読み終える頃には、給与前払いサービスの仕組みについて周囲に説明できるくらいに理解が進み、自社に合いそうなサービスの選定ができるようになっていることでしょう。
給与前払いサービスとは?
給与前払いサービスとは、従業員が給与の前払いを申請することで、働いた分のみの給与を最短で即日受け取ることができるものです。
いまいち仕組みがよく理解できない、という方も多いのではないでしょうか。
そこで、以降で図を用いながらご説明しますのでご参照ください。
給与前払いサービスの仕組みをわかりやすく図解
給与前払いサービスの仕組みを図に表すと以下のようになります。
流れとしては、
① 給与前払いのための銀行口座開設し、導入企業はそこにあらかじめ資金を入れておく
② 従業員が給与前払いを申請すると、手数料を引いた分が最短当日に支払われる
③ 連携された従業員データ(勤怠・給与)から働いた分以上の、給与前払いができないようにコントロール
④ 導入企業は、給与前払いサービスに対して、初期費用・月額費用を支払う(無料のサービスもある)
⑤ 前払い分を控除した給与を従業員に支払う(システム間で連携しているので面倒な計算等は不要)
となります。
※サービス間で若干の違いはあります
給与前払いサービスは貸金業にあたり違法ではないのか?
結論から言えば、給与前払いサービスは違法にはなりません。
その仕組みが貸金業にあたり、違法ではないかという懸念がありましたが、2018年12月20日に経済産業省が「違法にはあたらない」と以下のように回答しました。
(ア)本サービスは従業員の勤怠実績に応じた賃金相当額を上限とした給与支払日までの極めて短期間の給与の前払いの立替えであって、
(イ)導入企業の支払い能力を補完するための資金の立替えを行っているものではなく、
(ウ)手数料についても導入企業の信用力によらず一定に決められている
との前提の下では、導入企業又は従業員に対する信用供与とは言えず、また、導入企業においても、信用供与を期待しているとまでは言えないことから、貸金業法上の「貸付け」行為に該当せず、貸金業に該当しないものと考えられる。
給与前払いサービスの費用
給与前払いサービスの費用は、「導入企業側負担」と「従業員側負担」に分けられています。
導入企業にかかる費用
給与前払いサービスを導入する企業が負担する費用としては、「初期費用」「月額費用」があり、それぞれ以下の費用帯になっています。
初期費用 | 0~20万円 |
---|---|
月額費用 | 0~5,000円 |
後ほど代表的な給与前払いサービスの費用を特徴とともにご紹介していきますが、固定費がかからないものもあります。
ですが、固定費がかからない場合は、その分手数料が高くなっている場合がありますので、よく比較検討して導入サービスを選定する必要があります。
従業員にかかる費用
従業員が負担する費用としては、お金を引き出す際の「手数料」があります。
手数料 | 110円〜申請金額の6% |
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この手数料はサービスによっては、企業側の負担として従業員の利便性をあげることもできます。
給与前払いサービスによっても料金体系が異なりますので、各社の資料を取り寄せるなどして比較しましょう。
給与前払いサービスを導入するメリットとデメリット
給与前払いサービスを導入するメリット・デメリットを挙げていきます。
両者をよく把握して、導入の目的を明確にしてみてください。
給与前払いサービスのメリット
給与前払いサービスを導入するメリットは以下の通りです。
- 従業員の離職率の低下
- 求人エントリー数の向上
まず、「従業員の離職率の低下」についてです。
前払いニーズを持つ従業員は、給与前払いの仕組みがあることで簡単なことでは会社を辞めなくなります。従業員の離職率が低下すれば採用にかかるコストも下げることができるようになるでしょう。
続いて、「求人エントリー数の向上」について。
給与前払いを導入する企業はかなり珍しい部類になります。これは求人にもいい影響を及ぼし、結果としてエントリー数が向上するようになるでしょう。いままでいろんな求人媒体に高額な広告費を支払っていた場合、それを低下させることが期待できます。
また、自前で給与前払いの仕組みを整備している場合(整備しようとしていた場合)、サービスの導入により管理する担当者の負担を大きく減らすことができます。
給与前払いサービスのデメリット
続いて、給与前払いサービスのデメリットについてです。
- 導入・維持にかかる費用
が挙げられるでしょう。
サービスによっては初期費用・月額費用がかかります。また、「取引あたりの手数料」がかかる場合もあります。
この手数料が高額な場合、従業員の使用頻度は下がってしまいますので、手数料を会社が負担するなど調整をすることもできますが、あまり会社負担の費用が大きくなりすぎても「費用対効果」が見合うのかといった問題に頭を悩ますことになります。
給与前払いサービスの導入にあたっては、各社の資料を取り寄せて費用のシミュレーションをすることが大切です。
給与前払いサービス7選を徹底比較!
では数ある給与前払いサービスの中から代表的な7つのサービスを比較していきます。
以下の一覧表をまずはご覧ください。
サービス名 | 従業員規模 | 特徴 |
---|---|---|
Payme | 全ての規模に対応 | ・企業側の導入維持費用が無料 ・豊富な勤怠管理/クラウド会計ソフトとの連携が可能 ・セブン銀行での出金が可能 |
前払いできるくん | 全ての規模に対応 | ・初期費用、月額費用が一切無料 ・準備資金の用意が不要 ・小規模、個人事業主でも審査なしで利用できるプランも |
CRIA | 100名以上 | ・導入企業の初期費用、月額費用、従量費用が一切無料 ・英語とベトナム語にも対応。誰にとっても使い勝手のいいユーザーインターフェース ・セブン銀行ATMからの出金、または銀行口座への振込指定が可能 |
apseeds | 250名以上 | ・マイナビグループ企業運営の安心実績 ・企業の様々なニーズに対応する豊富な運用プラン ・充実した運用サポート |
THE 給与 | 50名以上 | ・勤怠管理システムがセットになった、生体認証型の給与前払いサービス ・従業員の負担がゼロ ・運送、物流、製造、工場業界に特におすすめ |
enigma pay | 全ての規模に対応 | ・あらゆる規模や業種の企業に対応 ・勤怠管理システムとの連携が可能で、手がかからない ・使い勝手のいいユーザーインターフェース |
CYURICA | 50名以上 | ・セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートなどで24時間365日引き出し可能 ・従業員の費用負担は、ATM手数料のみ ・企業の費用負担は、月額50,000円のみ |
以降では、上記7つの給与前払いサービスを一つひとつ深掘りしてご紹介していきます。
Payme
・豊富な勤怠管理/クラウド会計ソフトとの連携が可能
・セブン銀行での出金が可能
Paymeは、導入する企業側の初期費用・月額費用が無料の給与前払いサービスです。
使い勝手のいい、わかりやすいユーザーインターフェースも好評です。
そのほか、「ジョブカン」「マネーフォワード」といった勤怠管理・クラウド会計ソフトとの連携が可能ですので、運営における余計なリソースが必要ありません。
全ての企業にオススメしたい給与前払いサービスの一つです。
従業員規模 | 全ての規模に対応 |
---|---|
提供形式 | クラウド |
サービス価格 | 【企業側】 初期・月額ともに無料 【従業員側】 要問い合わせ |
前払いできるくん
・準備資金の用意が不要
・小規模、個人事業主でも審査なしで利用できるプランも
前払いできるくんは、導入企業側の初期費用や月額費用が一切必要ない上に、準備資金も必要ありません。
通常は、前払い分の給与を口座にプールしておく必要があるのですが、「前払いできるくん」の提供会社が立て替えてくれるのです。
また、これまでは小規模な企業や個人事業主では審査が通りにくかったのですが、「前払いできるくん」なら審査なしで、最短当日に利用することができます。
主に創業したばかりのベンチャー企業や、小規模店舗におすすめの給与前払いサービスです。
従業員規模 | 全ての規模に対応 |
---|---|
提供形式 | クラウド |
サービス価格 | 【企業側】 初期・月額ともに無料 【従業員側】 要問い合わせ |
CRIA
・英語とベトナム語にも対応。誰にとっても使い勝手のいいユーザーインターフェース
・セブン銀行ATMからの出金、または銀行口座への振込指定が可能
CRIAは、導入企業の初期費用・月額費用・従量手数料が一切かからない給与前払いサービスです。
そのほか、従業員にとっても「いますぐに資金が必要」といったニーズに対応できる24時間365日現金受け取り可能なセブン銀行ATMによる出金や、「いついつまでに口座にお金が必要」といったニーズに対応できる口座振込といった2つの受け取り方法から指定可能です。
また、英語やベトナム語にも対応していますので、外国人労働者のニーズも取り込むことができます。
事業拡大を計っている、中規模の企業におすすめの給与前払いサービスです。
従業員規模 | 全ての規模に対応 |
---|---|
提供形式 | クラウド |
サービス価格 | 【企業側】 初期・月額ともに無料 【従業員側】 要問い合わせ |
apseeds
・企業の様々なニーズに対応する豊富な運用プラン
・充実した運用サポート
apseedsは、マイナビグループの企業です。
10年以上にわたって250社に導入し、30万人の利用されてきた実績を持ちます。
豊富な運用プランをもつため、「いつもの銀行を使いたい」「勤怠データの連携はできない」など、あらゆる企業のニーズに対応することが可能です。
「柔軟な給与前払いシステムを導入したい」と考える企業におすすめです。
従業員規模 | 全ての規模に対応 |
---|---|
提供形式 | クラウド |
サービス価格 | 【企業側】 要問い合わせ 【従業員側】 要問い合わせ |
THE 給与
・従業員の負担がゼロ
・運送、物流、製造、工場業界に特におすすめ
THE 給与はドライバー求人サイトの「ドラEVER」が運営する給与前払いサービスです。
他の給与前払いサービスと大きく異なるのが、クラウド型のシステムではなく物理的な機械をオフィスに設置し、その機械から給与を引き出すことができるシステムになっています。
従業員の負担手数料が0ですので、従業員は給与前払いのメリットを最大限に享受することができます。
運送・物流・製造・工場の業界に詳しい会社が運営していますので、その業界の企業に特におすすめしたい給与前払いサービスです。
従業員規模 | 全ての規模に対応 |
---|---|
提供形式 | クラウド |
サービス価格 | 【企業側】 初期・月額ともに無料 【従業員側】 要問い合わせ |
enigma pay
・勤怠管理システムとの連携が可能で、手がかからない
・使い勝手のいいユーザーインターフェース
enigma pay(エニグマペイ)は、求人エントリー数3.7倍、従業員定着率4%UPの実績を持つ給与前払いサービスです。
銀行との連携や各種勤怠管理システムと連携しているため、導入企業の手を煩わせることなく導入・運用が可能です。
従業員規模や業種にかかわらず、あらゆる企業におすすめしたい給与前払いサービスです。
従業員規模 | 全ての規模に対応 |
---|---|
提供形式 | クラウド |
サービス価格 | 【企業側】 要問い合わせ 【従業員側】 要問い合わせ |
CYURICA
・従業員の費用負担は、ATM手数料のみ
・企業の費用負担は、月額50,000円のみ
CYURICA(キュリカ)は、総合人材サービス大手のヒューマントラストが提供する給与前払いサービスです。
引き出し可能なATMの選択肢が多く、また従業員負担はATM利用手数料のみですので、従業員にとってありがたい仕組みです。
企業側の費用負担もシンプルに50,000円のみですので、予算を管理しやすいのが魅力(カスタマイズ費用等は別途)。
導入や維持にかかる費用を毎月一定にしたいと考える企業におすすめです。
従業員規模 | 全ての規模に対応 |
---|---|
提供形式 | クラウド |
サービス価格 | 【企業側】 月額50,000円 【従業員側】 ATM手数料のみ |
給与前払いサービスの選び方
給与前払いサービスを導入して「失敗した!」なんてことにならないように、以下の3つのポイントを抑えておきましょう。
- 利用しやすいシステムであること
- 提携している銀行が豊富であること
- 利用における手数料や費用が抑えられること
以降で一つひとつ解説していきましょう。
1.使いやすいシステムであること
給与前払いサービスを選ぶ際には「使いやすい」という点は最重要です。
そもそも給与前払いシステムを導入する目的は、企業側であれば工数の削減、従業員側であれば手軽に申請できるシステムを得ることにあります。
この目的を果たせないシステムを導入しても、後悔してしまうことはいうまでもありませんね。
例えば、導入している勤怠管理システムや給与計算システムと連携可能なことや、サービス導入時に従業員への説明が簡単なアナウンスで済むことは必要でしょう。
給与前払いサービスを導入して後悔しないためにも、運用担当者と従業員にとって使いやすいシステムのものを選びましょう。
2.提携している銀行ATMで選ぶ
従業員が前払いした給与を引き出せる銀行ATMの豊富さも重要なポイントです。
利用できる銀行ATMが少なく限られている場合、せっかく給与前払いサービスを導入しても、その恩恵を最大限受けることはできません。
具体例を挙げるとセブン銀行など、メジャーなATMと連携しているサービスがいいでしょう。
提携している銀行ATMとその設置数の豊富さで選ぶようにしてください。
3.利用料が低く抑えられること
給与前払いサービスを選ぶ際には、従業員負担の手数料、企業負担の初期費用・月額費用がなるべく抑えられるものを選びましょう。
従業員負担の利用手数料が高ければ、せっかく導入しても頻繁には使われません。
企業負担の維持費用が高くても、費用対効果に見合わずにサービスの継続をやめることになってしまうかもしれません。
そうなってしまうと、給与前払いサービスがある点に惹かれて入社した社員や辞めずにとどまっている社員は、退職してしまう可能性があります。
給与前払いサービスを導入する際には、各社に資料を取り寄せて費用対効果のシミュレーションをするようにしてください。
まとめ
給与前払いサービスの仕組み解説や、代表的な7つのサービス比較、選び方を解説してきました。
給与前払いサービスを導入することで御社の人材採用を有利に進めることができるようになるでしょう。
気になる給与前払いサービスがあれば比較表に戻り、資料を取り寄せて比較検討してみてください。