- 給与デジタルマネー支払いの課題や問題点は?
- 給与デジタル払いサービスにはどんなものがある?
昨今注目されている給与デジタル払いについて、このように疑問を持つ方も多いでしょう。政府が目指すデジタル化を実現するために、キャッシュレス決済の普及を目指してこの給与デジタル支払いが検討されています。
本記事では、
- 給与デジタルマネー支払いのメリット
- デメリットや問題点
- 給与デジタル支払いサービス比較
をご紹介していきます。読み終える頃には、「給与デジタル払い」に対する知識が増え、導入すべきかどうかの判断ができるようになるでしょう。
給与デジタル払いとは?
給与デジタル払いとは、これまで銀行振り込みとしていた給与の全額または一部を、キャッシュレス決済サービスの「〇〇ペイ」を通して従業員に支払う方法です。
給与の支払いとはそもそも、手渡しが原則とされており、銀行振り込みは労働者との間で合意が取れた場合のみ許される例外的措置です。「労働基準法第24条(賃金の支払い)について」にもこのように書かれています。
労働基準法第24条においては、賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を、毎月1回以上、一定期日を定めて支払わなければならないとされています。
「〇〇ペイ」による給与支払いも認めようという、流れがあるわけです。
給与デジタルマネー支払いのメリット
給与デジタルマネー支払いのメリットについても理解しておきましょう。大きく以下の3つが考えられます。
1.利用者がATMで現金を引き落とす手間がなくなる
従業員がATMで現金を引き落とす手間がなくなるのが一つ目のメリットです。
毎月25日には、どこのATMも混雑しているのをみたことがある人も多いでしょう。これは従業員によっては非常にストレスを抱える問題であり、特にPayPayやLINE Payといったキャッシュレスにチャージするために現金を引き下ろす人からすれば、非合理なことです。
「直接、〇〇ペイアプリに振り込んで欲しい」と考える従業員は一定数いることが考えられますので、こういった従業員の満足度を上げる意味では非常にメリットのあることです。
2.多様な従業員のニーズに応えられる
多様な雇用形態や外国の従業員を抱える企業は、従業員の多様なニーズに応えることができます。
日雇い労働者やアルバイトを多く抱える企業は彼ら彼女らの「すぐに給料が欲しい(都度払いや少額払い)」というニーズに応えることができますし、日本国内の銀行口座を持っていない(作ることができない)外国人従業員にも給与の支払いが容易にできるようになります。
このように従業員の多様なニーズに応えることができれば、採用力の強化や国際的な競争力の向上が期待できるでしょう。
3.給与支払い担当者の業務効率化と手数料削減
給与デジタル払いサービス提供事業者を介して従業員に給与を支払うことで、給与支払い担当者の業務効率化と銀行手数料の削減ができます。
給与デジタル払いでは多くの場合、サービス提供事業者にお金を一括で振り込み、そのお金をサービス提供事業者から従業員に振り込まれます。そのため給与支払い担当者の業務は一回で済む上に、銀行振り込み手数料も大きく削減できるわけです。
これに加えて、「〇〇ペイ」独自のポイントバックを従業員が受け取ることができますので、福利厚生という意味でも大きなメリットがあります。
給与デジタルマネー支払いサービス比較2選
2021年3月末時点で、給与デジタルマネー支払いに関するサービスは多くなく、現状ご紹介できるのは以下の2社です。
サービス名 | 特徴 | サービスURL |
---|---|---|
エニペイ | ・低い手数料設定 ・必要なお金を必要な時に受け取れる | https://pay-tech.co.jp/anypay/ |
TIS | ・多様な給与の受け取り方が可能 ・複数の人事給与サービスに対応 | https://www.tis.jp/service_solution/moneyquick/ |
※随時情報を更新予定です
給与デジタルマネー支払いのデメリット
給与デジタルマネー支払いのデメリットとして、サービス提供事業者(資金移動業者という)が倒産した場合の対応が挙げられます。
資金移動業者が預かったお金は法務局にその100%を供託するなどして、資金の100%保全が確保されています。しかし、そのお金がすぐに返ってくるとは限らず3ヶ月、長くて半年かかってしまいます(参考;何が問題?賃金のデジタル払い|連合(日本労働組合総連合会))。
給与として支払う場合には資金移動業者が倒産したとしても、従業員に対して期日通りに支払う必要があるため、この点について対応策の整備が本格的に浸透する前の課題といえます。
まとめ
給与デジタルマネー払いのメリットやデメリット、課題、給与デジタル払いサービス比較についてご紹介してきました。
給与デジタル払いサービスの浸透はまだまだこれからといった段階ですが、早ければ早いほど他社との違いを従業員にアピールするチャンスです。競合他社が導入する前に、情報収集だけでも進めておきましょう。